栃木県実業団剣道連盟 みんなの掲示板 99391


鎬のつかいかた③

1:松村司朗 :

2024/05/02 (Thu) 09:51:01

昨日の京都八段審査会で栃木県警の藤原さんが合格なされたようです(全日本剣道連盟ホームページ) おめでとうございます みくら会館でも、何度かお稽古させていただいてました 立派な立ち姿、立ち居振る舞い、素晴らしい剣風だと常々思っていました よかった、よかった

さて、この第③稿からは、「鎬のつかいかた」の本題に入ります(恵土先生の片手上段についてはこの稿の最後のところで触れますが)

「鎬」は本来、日本刀用語なので、竹刀で鎬を意識することは難しい

日本刀の横断面には角(らしきもの)は六カ所 しかし、竹刀は丸い(見ようによっては四角形または八角形) 

なので、竹刀の鎬といえば、両側面の平らな部分を意識しがち しかし、その部分は日本刀では「鎬筋」といって角のついた部分
なので、使い手は混乱するか、または鎬(鎬筋・鎬地・平地・刃地・刃先・刃部・棟・刃筋など)を意識しなくなってしまう

竹刀の鎬部分といえば、その横断部八角形の両脇上やや斜め面の部(屋根状?)、つまり日本刀でいう鎬地を意識すべき、かと

全剣連の『剣道講習会資料』(平29.4.1)9頁 指導法講習における[重点事項]「3.」には「鎬を意識した竹刀の操作について徹底指導する」とあるが、実際はそのような指導、講習会はほぼ見たことがない

同様に、同書91頁 日本剣道形講習における[重点事項2.]に「正しい刀(木刀)の操作(刃筋、鎬の使い方)」とあるが、実際の講習会では、時間の都合もあるのであろうが、ほとんどなされていない

ここからは、鎬のつかいかた③として、その詳細を日本剣道形で説明してみたい(日本刀・木刀・竹刀の各部名称については同書116頁の図解を参照)

先ず、一本目 打太刀は左上段、相手の左肩口に刃筋を向ける したがって仕太刀からは打太刀の刃部刃先は見えるが鎬は見えない
仕太刀は、打太刀と同様に左上段をとり互いの刃先方向に切り込むと、刃先または刃地(平地)同士の相打ちとなってしまうので、刃先を打太刀の真っ向に向けた右上段に構える
仕太刀は有利な構えで「先(せん・勝ち)」をとることになり、打太刀は仕太刀のその先(せん・勝ち・攻め・溜め)を、つまり「機(き・気)」を見て、我慢しきれずに打ち込んでいき、その結果、抜かれる
これが「一本目 仕太刀 先々の先で勝つ」の意
互いに鎬は使わ(え)ず、仕太刀が、機・気・攻め・溜め・読みで勝つの理合い

以降の「鎬のつかいかた④」の投稿で、二本目~小太刀三本目 同様に、鎬にちなんでの説明をしていくつもりです

もちろん、諸説あることは承知のうえでの私の説

今回は、随筆風ではなく、論説風な投稿にしたつもりでしたが、いかがだったでしょうか?

刀の刃先を矛(鉾)・攻めとするなら、鎬は楯(防ぎ)・凌ぎ・避け・耐え・越え・擦り・流しなどの働きをもつと言われています
また、日本刀の美しさには、その装飾、刃紋や鍛え肌の美しさもさることながら、その刀身形状の機能美にあるとも言われています
剣道の構えでの立ち姿は「太刀姿」であれ、とも聞いています まさに「人は石垣、人は城 情け(鎬)は味方、仇(刃先)は敵」(風林火山)ですよね この『武田節(武士?)』の詩吟の意味、剣道の構えで、さらに深めてみたい が、長くなるので別の稿で・・・

「剣道の理念」「剣の理法(身法・刀法・心法)」に向かうなら、竹刀も、日本刀のように使えればよいと私は思っています
もちろん、異論(竹刀は「打」、日本刀は「斬切」なので使い方は違う、試合では「勝ったもんが勝ち」など)があることは承知していますが…

ちなみに、恵土先生の左片手上段が川添選手の上段より有利に戦えたのは、鎬を相手に向けることによって鎬を有利に使えたからでもあろう、というよなことを、ご本人から聞いたことがあります(意味深 深堀必要 笑)

さらなる理解と実践の深みに向っての気付き、発見、疑問、質問、納得、試論、反論などを、この場でも、私へのDMでもかまいませんので、期待しています
        松村

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